── 自然と暮らしが、つながりはじめる
安曇野・穂高にある「YAU Azumino Outdoor Gear & Equipment」で行われた「【山の芽】狩猟と野営」のイベントに行ってきました。
イベントでは、元ジビエ処理施設責任者の猟師・森山さんを招き、
鹿の解体や狩猟のリアルな話、ハンモック野営の紹介など盛り沢山の内容でした。
今回は、「【山の芽】狩猟と野営」を紹介します。
「YAU Azumino Outdoor Gear & Equipment」のイベント

「YAU Azumino Outdoor Gear & Equipment(以降、YAU)」は、森の中にあるアウトドアショップとして話題のお店。
“道具を売る場所”にとどまらず、自然と人の関係を再構築するような企画やイベントを展開しており、感度の高いアウトドアファンの間でも話題となっています。
この日も、「東京から来ました」という方に出会うほど注目度の高さがうかがえました。
あいにくの雨模様でしたが、イベントは事前に即完売。
多くの人がこの機会を楽しみにしていたことが伝わってきます。
【山の芽】狩猟と野営を伝える森山さん

元ジビエ処理施設責任者であり、猟師でもある森山さん。池田町へ移住し、現在はワインの製造なども挑戦しているそう。
元々は山梨県で猟師の仕事をしていたと自己紹介で話されていました。
狩猟を学ぶ座学からスタート

ちなみに今回は、安曇野市の里山再生プロジェクト「さとぷろ」の会館をお借りして、講座がスタートしました。
「さとぷろ」は、里山の資源を活かした暮らしや文化を未来へつなぐための活動を行っている団体で、今年から拠点となる施設の運用も本格的に始まったそうです。
まずは「YAU」の齋藤さんによるご案内から。
講座の冒頭では、今回のテーマや流れが紹介され、参加者たちも真剣な面持ちで耳を傾けていました。
参加者の中には、東京や三重など、遠方から訪れた方の姿も。
安曇野の自然と向き合うこの時間に、多くの人が関心を寄せていることが伝わってきます。

座学のテーマは「狩猟」。
獣害問題や地域の生態系の変化に触れながら、
どのように狩猟が行われているのかを、わかりやすく伝えてくれました。

罠の仕組みや使い方についての説明に、参加者たちは熱心に耳を傾けていました。
中には、実際に狩猟免許を持っている方も数人。
それぞれの視点で学びを深めている様子が印象的でした。

実際に罠の実演も行われました。
仕組みが作動する瞬間を目の当たりにすると、動物が一瞬で捕まる様子がよくわかります。

実際にジビエとして販売するには、肉質が良いことが求められます。
そのためには、血抜きや内臓の摘出を的確に行うことが重要。
少しの手順の違いで、味や衛生状態にも大きな差が出るのだそうです。

解体に使われる道具だけでなく、動物たちの骨や皮も持ってきてくださいました。
ふだん目にすることのない素材に、参加者たちは興味深そうに見入っていましたね。
1時間半ほどの講義を終えて、今度はYAU(ヤウ)へと移動。この後は待望のアレが待っています。
実演!鹿の解体

いよいよ、鹿の解体が始まりました。
足をロープで吊るし、ナイフ一本で肉を切り分けていく。
迷いのない手つきで、一頭の命が“肉”へと変わっていく様子に、参加者も興味津々です。
大雨の中でも、森山さんは手早く解体を進めていきます。
ふつうなら、こんな悪天候の中で解体を行うことはないそうですが、その確かな手つきと集中力に、参加者の視線が自然と集まっていました。

今回は、一度冷凍された鹿が用意されていたため、このあとどのように処理されるのかまでは伺ってはいませんが、実際の現場でどれだけ繊細な工程が求められるのか、その一端を垣間見ることができました。
これを山の中で行うこともあると聞けば、やはり大変な作業なのだと実感します。
野営の楽しみハンモックキャンプ

鹿の解体が終わると、続いてはハンモックブランド「LELEKA」の紹介が行われました。
こちらは「世界一軽い」とも言われるハンモックで、現在は日本で輸入販売されているそうです。
軽量で持ち運びやすく、それでいて寝心地も抜群。
テント泊ではなく、あえてハンモックで“宙に浮く”という選択ができるのは、野営スタイルならではの楽しみでもありますね。
最後は鹿肉の調理実演

最後は、鹿肉の調理方法の紹介が行われました。
使うのは、フライパンとメスティン。
たった20分ほどで焼きあがるそうで、オーブンがなくてもローストビーフが作れるというのは、まさに目から鱗。
アウトドアでも手軽に楽しめる、ジビエ料理の魅力を身近に感じられる時間となりました。
ちなみに、今回の鹿肉は参加者が試食できるものではありませんでした。残念ながら、食肉衛生の観点から、提供には厳しい基準があるためです。
それでも、調理の香りや手順を目の前で見られたことは、貴重な学びのひとつでした。
「【山の芽】狩猟と野営」で学ぶ自然との向き合い方

あっという間に、終わりの時間がやってきました。
雨の中での開催となりましたが、解体の実演から野営の工夫、調理の知恵まで、濃密な学びの連続でした。
ふだん、何気なくお肉を食べている私たち。
その“いただく”という行為の裏側にある、動物や自然と向き合う時間を、今回は実際に体験させてもらいました。
YAUでは本当にいろいろなイベントが開催されています。これからもどのようなイベントがあるか楽しみですね。
ちなみに次回の「【山の芽】狩猟と野営」は9月に開催が決定しています。すでに半分は予約で埋まっているそうなので、気になる方は要チェックです。
予約はYAUのイベント詳細から。
今後も継続的に開催を検討されているそうですよ。
基本情報
店名:YAU Azumino Outdoor Gear & Equipment
住所:長野県 安曇野市穂高有明7350-46
TEL:0263-74-5532
営業時間:平日 10:00〜19:00
土日祝 7:00〜19:00(4月~11月)
9:00~18:00(12月~3月)